玉響


腰に帯びた刀が、すぐに現実へと引き戻すけれど。

何故一瞬でも心揺らされたのか、分からない。

『私も一緒に戦わせて下さい』

自分の内に響いた声に、思わず溜息が洩れる。

何を思い出しているのか。

思いがけず広がった美しい景色に、思いがけず現れた美しい存在を重ねたのか。

ほんの一瞬の邂逅に、此処まで毒されたのか。

早く消し去らなければ。

戦うには不要なものだ。

そしていつか戦いの果て、一人倒れるのだろう。

刀の柄に手をかけながら、注意深く滝の方へと近付く。

水のほとりに立って覗き込んでみたが、変わった様子は無い。

取り敢えず何か異変が起こるまで様子を見ようと腰を下ろした時、背後に何者かの気配を感じた。

まだ遠いが、確実にこちらに近付いて来る。

普通の旅人ではない。

それならば、もっと早く気付いた筈だ。

近付いて来る気配は、常人よりも少なく薄い。

隠しているのだろう。

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Reservoir Amulet