玉響
「そ、それだけですよ。他に何があるんです」
口ごもったところを見ると露骨に怪しいが、この娘のことだ。
無理に聞き出しても、きっと理解出来ずに疲れるだけに違いない。
黙って手を出して、桔梗から昼食の代金を受け取る。
そして、それをそのまま彼女の手に握らせた。
「え、荷葉さん?」
訝しげに見上げられ、息を吐いて言う。
「それで新しい髪紐でも買われると良い」
「あ……」
驚いたように地面に落ちた紫の布を見た桔梗は、解けて肩に流れる髪に手をやった。
「あの、有り難うございます」
「礼など要らぬ」
知らなかったとはいえ、斬りかかったのは自分だ。
髪が解けただけで済んだのは、桔梗が咄嗟にかわしたからだ。
彼女も、悪戯に刀を持っている訳では無いようだ。
「律儀なんですね。荷葉さん」
「貴女に言われたくはない」
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Reservoir Amulet