玉響


深い色の瞳を鋭く細めて、荷葉が口を開く。

「聞いた話では、水に引き込まれるようになったらしいな」

「ええ」

頷いてから、はっとして耳を澄ませる。

「あの、何か泣き声のようなものが聞こえませんか?」

「泣き声?」

しばらく黙り込んだ荷葉は、やがて腕組みをして言った。

「いや、俺には何も聞こえないが」

「そうですか?でも、確かに……」

聞こえて来る声を辿るように、滝の方へ一歩踏み出す。

「確かに誰かが泣いている……」

更に歩みを進めた時、水が渦を巻きながらこちらへ向かって来た。

「おい、どうした?しっかりしろ!」

荷葉の焦ったような声が遠くで聞こえる。

水の飛沫が髪や顔に降りかかる。

けれど、不思議と冷たさは感じない。

ああ、この感覚は知っている。

広がる漆黒の闇と静寂。

そして流れ込んで来るのは、泣いている者の声。

自らをこの地に留めて、ずっと何かを訴えようとしていた者の記憶。

それに同調し、心を沈めて耳を傾ける。

熱く強い、想いに。









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Reservoir Amulet