玉響


これから彼の行く、長い旅路に。

この先彼が挑む、影の戦いに。

ほんの僅かでも、慰めのようなものを。

滅び急ぐ魂に、躊躇いを。

与えられたら、残せたら。

刹那の邂逅も、一夜だけ刀を合わせた事も。

決して無価値な事ではないから。

「……っ!」

何度か斬り掛かって刃を重ねたが、とうとう刀を弾かれて手を離してしまった。

手が痛むのも構わず、地面に転がった刀の方へと駆け寄ろうとする。

帯に挟んだ小太刀や素手では、きっと勝負にもならない。

しかし刀の所まで行くより先に、目の前に銀色が走った。

すぐ横の木の幹に突き刺さった太刀と、それを持つ彼の体で動きを封じられる。

「……勝負あったな」

ゆっくりと向きを変えると、驚く程近くに彼の顔があった。

「もう止めろ。このまま日が高くなるまで続けるつもりか?」

そう言われて、ようやく気付く。

暗かった辺りにはいつの間にか、暁の光が射している。

一晩中、刃を合わせていたのか。

ふっと息をつくと、急に激しい疲労感と痛みが襲って来た。

それでも微笑んで、暁の光を浴びて立つ彼を見上げる。

紅に色付いた葉は、今もはらはらと舞っている。

ああ、なんて。










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Reservoir Amulet