玉響
夜の間、休みもせずに刀を振るい続けたのだ。
本当は立っていられない程に疲れているだろう。
それでも微笑んで見上げて来る娘を、怪訝な思いで見下ろす。
眩しそうに目を細める表情から伝わるのは、まるで満ち足りたような。
幸福だろうか。
「……何故、こうまでして俺と来たがる。貴女の目的は何だ」
聞いたところで、理解出来ないかもしれないけれど。
この娘は、容易く常識や想像を越える印象がある。
「一人にしたくなかったからです」
返って来たのはやはり、予想よりも強く揺らがない声と眼差しだった。
「貴方はこれまでずっと一人で戦って来たのでしょう。そして、これからも。ですが私は、貴方を一人にはしたくない。このまま進んで、貴方がいつか一人で眠るなら。私は側にいたいんです」
淀み無く語られる言葉。
何処までも真っ直ぐに迸り、染み渡る。
「私をお側にいさせて下さいませんか、荷葉さん」
差し伸べられる手。
近くから、挑むように射抜いて来る視線。
思わず目を逸らし、先程と同じような言葉を繰り返す。
「……何故、そこまでして俺と来ようとするのか。まるで理解が出来ないが」
「理由なんて、どうでも良いではありませんか。私はただ、貴方の側にいたいだけです」
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Reservoir Amulet