玉響


出会ったばかりだ。

本来なら、一瞬交わってまた別れる道で。

偶然すれ違っただけの存在の筈だったのに。

どうして側にいたいなどと。

「私をお側にいさせて下さいませんか」

まるで理解が出来ない。

出来ないけれど。

「荷葉さん」

今も差し伸べられる手。

もしもこの手を取れたら。

どんなに幸せだろう。

ふと、そんな有り得ない想像をしてしまう程。

毒されてしまったのだろうか、彼女に。

溜息と共に、木の幹に突き刺したままだった太刀を引き抜く。

「言った筈だ。俺に連れなど必要無い」

真摯に見詰めて来る瞳に、背を向けながら続ける。

「貴女は俺のことなど忘れ、本来在るべき場所へ帰れ」

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