玉響
そうだ、此処は彼女の在るべき場所ではない。
しとやかで精錬された身のこなし。
そして、人ならざる者と意志を通わせる娘。
何者なのかは分からないけれど、彼女の本来の居場所は別に在る筈だ。
一人の男などを追って、刀を手に戦うべきではない。
特に、こんな闇に生きる男などを。
「荷葉さん!」
歩き出すと、後ろから声が聞こえた。
「私は忘れません。貴方のことを、絶対に」
振り向く事はしなかったけれど。
微かに笑みが浮かんだのは確かだ。
変なところで強情な娘だ。
刀など持たず、綺麗な衣で。
姫と呼ばれても良いのだろうに。
変わり者だ、それでも。
今はああ言っていても、時が経てば。
きっと忘れるだろう。
忘れて幸せになってくれるなら、それで。
それだけで。
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Reservoir Amulet