玉響


「恋……?」

「まあ、違うの?」

穏やかに問い返され、再び視線を下げる。

「分からないんです。ただ、何度も何度もあの人のことを夢で見て……。それがこの先に起こる事だと思ったら、どうしてもじっとしてはいられなくて」

許されぬ事と分かっていた。

それでも次第に強くなる苦しさと焦りに突き動かされるまま。

祈りを捧げ守っていた刀を手に、在るべき場所を飛び出した。

「こんな苦しくて、泣きなくなる気持ちが恋なのですか?人は皆、こんな気持ちを抱えて生きて行くのですか?絶対に叶わないと分かっていても、恋は、するものなのでしょうか……」

分からない。

苦しいだけと、報われないと分かっていても。

求めるものなのだろうか、願うものなのだろうか。

「そうだな。俺も、決して結ばれないと思った相手に恋をしたが……。今は共にいるぞ」

鬼若の静かな声に顔を上げ、二人の姿を瞳に映す。

「恋はするものだ。想いは人に強さをくれる」

「そうよ。人は理では計れない力を持つわ」

この二人の言葉には、重みがある。

かつて乗り越えて来たのだろう。

苦しみも切なさも乗り越えて。

今、共に。

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