玉響


「貴女が見た未来だって、動かせないとは限らないわ。それがどんなに強い運命としても、そこから先の未来を切り拓ける」

「そこから、先……?」

「そう。今すぐには、彼が一人でいる事実は変えられないかもしれないわ。でも、貴女が夢で見たものよりもっと先、そこにはまだ可能性があるでしょう。貴女の想いが、願いが強ければ、定めも時も関係無いわ。容易く越えて行くでしょう」

果てしない夢物語に思える。

けれど、不思議だ。

信じてみたくなる。

「そしていつか、今は想像出来ない程遠くで、想いは叶うかもしれないわ。人にはそれ程の力があるのよ」

考えてみた事も無かった。

あの哀しい夢の先。

その先の未来なんて。

「それに、貴女はもう彼と出会った。出会って、僅かな時間であれ共にいて言葉を交わした。その事実は消えないわ。出会わなかった場合と出会った場合では、道筋もまた違って来るでしょう」

何処まで知っているのだろう。

話していない全てを知っているような。

そこまで考えて、はっとする。

「もしかして貴女も、私と同じなのですか?先予見の力をお持ちなのですか?」

そう尋ねると、水晶は金糸の髪を揺らして首を振った。

「いいえ。私には今は特別な力は無いわ。ただ少し長く生きているから、色々な事を知っているだけ」

「長く……?」

自分と大して変わらない年齢に見える娘の言葉に疑問を覚えたが、それ以上訊くのは止めた。

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