玉響


人には誰しも、訊かれたくない事がある。

軽はずみに踏み込めない場所が。

「まあ、そういう訳だからな。お前は何も心配せず、あいつの後を追えば良い」

鬼若が笑みを浮かべて、力強く言った。

「村の事は案ずるな。俺達で責任を持とう。この地を統べる者、飛龍【ひりゅう】とその后、輝夜【かぐや】がな」

さらりと何のこだわりも無く軽く告げられた内容を、理解するのにしばらく掛かった。

「……え?」

今、何と言われた。

「ひ、飛龍殿と輝夜殿……。まさか帝とお后様ですか!?」

「ああ。驚いたか」

「黙っていてごめんね、桔梗さん」

相変わらず親しげに笑う二人を、信じられない思いで見詰める。

こんな事で嘘をつくような人達ではない。

それに、噂で聞いた事がある。

帝が正后に迎えたのは金の髪と青い瞳を持つ姫君で、大変仲睦まじいと。

後にしてきた村の者が宮に相談しに行ったのなら、二人の耳に入ってもおかしくはない。

おかしくはないけれど。

「どうしてお二人がわざわざ……。共も付けずに」

「共など付けていたら口うるさくてかなわん。輝夜一人で充分だ。」


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