玉響
人には誰しも、訊かれたくない事がある。
軽はずみに踏み込めない場所が。
「まあ、そういう訳だからな。お前は何も心配せず、あいつの後を追えば良い」
鬼若が笑みを浮かべて、力強く言った。
「村の事は案ずるな。俺達で責任を持とう。この地を統べる者、飛龍【ひりゅう】とその后、輝夜【かぐや】がな」
さらりと何のこだわりも無く軽く告げられた内容を、理解するのにしばらく掛かった。
「……え?」
今、何と言われた。
「ひ、飛龍殿と輝夜殿……。まさか帝とお后様ですか!?」
「ああ。驚いたか」
「黙っていてごめんね、桔梗さん」
相変わらず親しげに笑う二人を、信じられない思いで見詰める。
こんな事で嘘をつくような人達ではない。
それに、噂で聞いた事がある。
帝が正后に迎えたのは金の髪と青い瞳を持つ姫君で、大変仲睦まじいと。
後にしてきた村の者が宮に相談しに行ったのなら、二人の耳に入ってもおかしくはない。
おかしくはないけれど。
「どうしてお二人がわざわざ……。共も付けずに」
「共など付けていたら口うるさくてかなわん。輝夜一人で充分だ。」
- 149 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet