玉響
「本当は仲間が姫巫女を捜しに行くと言っていたのだけれど、飛龍ったら宮が退屈だからって自分で行くって抜け出したのよ。帰ったら、皆かんかんよ?」
「そんな事を今更、この俺が気にすると思うか?それにあいつらに任せておけば、宮の用は上手く回してくれるだろう」
二人の会話をしばらくぼんやりと聞いてから、はっと我に返ってその場にひれ伏す。
「も、申し訳ごさいませんでした。知らぬ事とはいえ、数々の無礼を働きました上に、お二人に大変なご迷惑を……!」
「桔梗さん、そんな事を気にしないで顔を上げて?私達、もう貴女の友達よ」
輝夜が膝をついて言うと、飛龍もその場に腰を下ろした。
「どうも堅苦しいのは好かん。民と同じ目線でいるのが好きでな」
「…………」
こんな人達が治めているのか。
こんな優しい人達が、この国を。
「……どうして、そんなに親身になって下さるのですか?私は自分の為に役目を捨てた、罪人なのに」
「貴女が罪人なら、私も同じよ」
輝夜が静かに言った。
「私もかつて、恋の為に自分の在るべき場所を捨てたわ。選んだ故に変わった事、失ったものも確かにある。けれど、その選択を後悔はしていないわ。人は常に、先に進む。その時に自分に出来る全てを探しながら」
「それに、お前は俺が守るべきこの地の為に戦う者に惚れたのだろう。ならば感謝をし、力を貸すのが俺の務めというものだ」
「残念ながら、私達では及ばないところに貴女がたの戦いはあるのよ。だから私達に出来るのは共に戦う事ではなく、離れたところからの協力と祈り位なの」
「実に歯がゆい事だがな」
そう話す二人を交互に見比べて尋ねる。
「あの、どういう事ですか?」
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