玉響


「桔梗、お前は妖魔について、どの程度知っている?」

逆に問われて、戸惑いながらも言う。

「私が知っているのは、夢で見て得た情報だけです。この世界が傾く度に現れ、その動きを加速させる存在と。いずれ全てを無に還す為に」

「ああ。つまり妖魔は、この世界の均衡を崩し理に矛盾を生む。本来なら交わる筈の無い異なる世界とも混ざり合わせ、出会う筈の無い者達とも出会う事になる」

「桔梗さん。先予見の力がある貴女が、私達のことを見なかったのは、何故だと思う?」

その言葉に、はっとして息を飲む。

そうだ、もっと早くに疑問に思うべきだった。

先予見でも、全てが見られる訳では無い。

けれど、今目の前にいる二人。

これ程に大きな存在ならば、出会う前に見ていて当然なのに。

「……では、つまりお二人は」

「妖魔によって混ざり合った、本来なら別の世界に生きる者という事になるな」

「だから、必要以上に干渉は出来ないのよ。これは貴女達の戦い、貴女達の物語だから」

深い輝きを持つ瞳を前に、自分の手を握り合わせて呟く。

「私にも、何か出来るのでしょうか。あの人の孤独な戦いに」

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