秋
溜息混じりに紅茶を飲む荷葉を見ながら口を開く。
「それで、先程貴方が戦っていたのは何なんですか?」
「もうずっと昔から存在しているものです」
カップを置き、荷葉は静かに話し出した。
「この世界が傾く度に現れ、その傾きを加速させる。やがては完全にひっくり返し、無へと還す為に。だから僕は近年姿を現したあれを、片っ端から倒しています」
「傾く度に……という事は、過去にも同じような事があったんですか?」
「はい。伝承では何度かあったようですね。その中で、あれは妖魔と呼ばれています」
妖魔。
あの巨大な、どんな動物にも似つかない姿を思い出す。
例えるなら、昔話に出て来る鬼か。
その思考を読んだように荷葉が言う。
「よくこの国の昔話に出て来る鬼は、妖魔についての伝承の名残と考えています。もしかしたら、カッパやツチノコなどの未確認生物もそうかもしれませんね」
子供の頃から知っている昔話。
桃太郎や一寸法師辺りが有名か。
それらがつい先程戦った妖魔と重なる事で、荷葉の語る内容が急激に近付いて来る。
同様にカッパやツチノコも、幼い頃から名前は知っている。
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