落葉
未来は変わったのだろうか。
永い戦いを終えて眠りについた彼を抱いたまま、声にならない想いが巡る。
夢ではいつも、彼は一人で倒れていた。
今自分が此処にいる事で、未来は変わったのだろうか。
『貴女のおかげで……俺の戦うだけの生に……意味が生まれた』
どうしてあんな事を言ってくれたのか、分からない。
何度も繰り返し夢を見ていた自分とは違って、彼にとってはほんの一時を共にいただけだ。
何もしてはいないのに。
何も出来なかったのに。
『貴女の……為だけに生きてみたい……』
どうしてあんな事を思ってくれたのか。
分からないけれど。
ずっとずっと、何も言わなかった彼の言葉が聞けた。
最後の時、側にいられた。
その事で、変わる何かもある筈だ。
今は、冷たくなって行く体にどうしようもない痛みが押し寄せて。
閉ざされた瞳に、胸が抉られるようだけれど。
自分がこれからやるべき事が、定まった気がする。
『貴女は俺のことなど忘れ、本来在るべき場所へ帰れ』
そう語った彼は、望まないかもしれない。
それでも、どうしても忘れられないから。
初めて知った恋の切なさと苦しさを、忘れる事など出来ないから。
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Reservoir Amulet