追憶
大地に倒れ込む刹那に浮かんだのは、清らかに落ちた涙。
泣きながら笑う気高き花。
想う、魂の存在。
最後の刹那は、彼女だけを感じたいと。
命が果てる時、あの瞬間。
側にいてくれたのは現か、それとも幻だったのか。
混沌に沈む想いを拾い上げてくれそうな。
美しく、優しい記憶。
「……僕は君を、随分傷付けてしまったみたいですね」
沈黙を破って呟くと、桔梗は微かに首を振った。
「私は貴方に会えただけで……それだけで充分です」
そう言って、泣いているのを隠すように抱きついて来る。
置いて逝くのも苦しいけれど。
置いて逝かれるのも苦しいだろう。
- 180 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet