追憶


大地に倒れ込む刹那に浮かんだのは、清らかに落ちた涙。

泣きながら笑う気高き花。

想う、魂の存在。

最後の刹那は、彼女だけを感じたいと。

命が果てる時、あの瞬間。

側にいてくれたのは現か、それとも幻だったのか。

混沌に沈む想いを拾い上げてくれそうな。

美しく、優しい記憶。

「……僕は君を、随分傷付けてしまったみたいですね」

沈黙を破って呟くと、桔梗は微かに首を振った。

「私は貴方に会えただけで……それだけで充分です」

そう言って、泣いているのを隠すように抱きついて来る。

置いて逝くのも苦しいけれど。

置いて逝かれるのも苦しいだろう。

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