追憶


どんな永い雨も、いつかは止んで。

どんな永い夜も、いつかは明けて。

暁の光が射す。

夢から覚めて、新しい日が始まる。

温かさに包まれてゆっくりと目を開けると、頭の上から穏やかな声がした。

「目が覚めましたか?桔梗さん」

「…………」

状況が把握出来ないまま顔を上げる。

驚く程近くで、穏やかな微笑を浮かべた荷葉と目が合う。

「おはようございます」

「……っ、おはようございます!」

反射的に返事をしながら、慌てて腕の中から出て距離をとる。

いつの間に寝てしまったのか。

起きてすぐにあの笑顔は、心臓に悪い。

特に今は。

「どうかしましたか?桔梗さん」

「い、いいえ。特に何も!」

荷葉は慌てる様子を不思議そうに見ていたが、やがて思い付いたように言った。

「昨夜、抱きついて来てくれたのは桔梗さんの方ですよ。断じて僕はセクハラなど……」

「わ、分かっています!覚えていますから、ちゃんと!」

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