追憶


意識していつも通りに接しようとするのが分かるから。

自分もこれまでと同じにしようと思った。

焦る必要は無い。

ずっと追い掛けて、ずっと待って、捜し続けてくれた。

桔梗をかつて、どれだけ傷付けてしまったかと思えば。

ただ側にいる事が、どれだけ尊いか。

苦しい位に分かるから。

今はまだ、これまでのように側にいられるだけでいい。

桔梗がいつか、少しでも関係を変えたいと思うまでは。

このままで構わない。

しばらくして戻ると、部屋はカーテンが開けられて明るい朝の光が射し込んでいた。

「簡単な物しか出来ませんけど、朝ご飯作りますね」

「有り難うございます。桔梗さん、今日仕事は?」

てきぱきと動き出しながら、桔梗は答える。

「休みですよ」

「そうですか。奇遇ですね、僕も休みなんです。良かったら、一緒に出掛けませんか?」

「はい、歓んで。でも、何処に行くんですか?」

不思議そうに尋ねられ、微笑んでキッチンに立つ桔梗の方に歩み寄る。

「後でお話しします。手伝いますよ」

「あ、有り難うございます」

昨夜還った記憶は、まだ完全ではない。

所々、抜けている部分がある。

けれど、一つはっきりした事もある。

もう頃合いだろう。

あの人に会うには。










- 184 -







[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet