追憶


現と妖の仲介者というのも頷ける。

「あの、天承さん」

その時、それまで隣で黙っていた桔梗が言った。

「私に刀を貸して下さって有り難うございました。お礼を言うのが遅くなってしまいましたけど、あの時貴女が背中を押してくれたから、私は荷葉さんを追い掛ける事が出来ました。本当に有り難うございます」

頭を下げる桔梗を驚いたように見詰めていた翼は、ふっと柔らかな微笑を浮かべた。

「桔梗さん、そんなに畏まらないで下さい。私は何もしていません。今お二人が共にいるのは、お二人が選んだからでしょう」

それから、真剣な眼差しをこちらに向ける。

「わざわざいらしたという事は、私達に何か訊きたい事があるのでしょう?」

「今、妖魔が現れている事で、世界は歪みつつある。それは貴女もご存知でしょう」

「ええ」

頷いた桔梗は、背筋を伸ばして続ける。

「妖魔の発現により世界は歪み、理は崩れ、無に還ろうとしています。かつて無い程の強さで虚無に向かっています。それによって貴方がたの周囲に、本来なら交わる筈の無かった縁が集まっています」

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