追憶


桔梗が翼に近付いて話し掛けるのをぼんやり眺めていたら、軽く肩を叩かれた。

「守の友達なんだろう?話は聞いてる」

先程、間無大地と名乗った青年に言われ、驚いて見返す。

「守って、繁森守ですか?確かに友達ですが……」

「実は俺は前は刑事でね。その頃の後輩で、今でもたまに此処に来る」

その話を聞いて納得すると同時に不思議に思う。

刑事だったのに、どうして今は此処で巫女と一緒にいるのだろう。

すると考えを読んだのか、大地が微笑んだ。

「色々あったんだ。それで今は、此処に翼さんと一緒にいる」

「……随分説明を省きましたね」

「長くなるからな。ちょっとした小説になる位には」

肩をすくめた大地の方を改めて見る。

無理に聞き出すつもりは無いし、まだ出会ったばかりでそんなに親しくもない。

それでも、これだけは分かる。

伝わって来るから、はっきりと。

「幸せなんですね、貴方は」

此処に至るまでに、きっと。

色々な事があって、幾つもの選択をして。

変わった事があって、後にして来たものもあって。

それでも、今此処にいる事は。




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