最奥


「大丈夫。大丈夫だよ、貴女なら、きっと」

昔からの友人のように、親しげな口調で華憐が言った。

そして、思い返すような瞳で続ける。

「自分の力が怖いって、そう思えるのなら貴女は大丈夫。きっと間違えないよ」

「……そうでしょうか」

「ああ、そうだ。それに、悩んだり迷っても良い。側にいてくれる人が、あんたにはいるだろう?」

蒼の視線を追うと、料理をお盆に乗せた荷葉が近付いて来るところだった。

目が合って、穏やかな微笑を向けられて。

それだけで、不安が溶けて行く。

胸が暖かくなる。

「お待たせしました。……どうかしましたか?」

テーブルに皿を並べながら、荷葉が不思議そうに尋ねる。

「いいえ、何でも。今日も美味しそうですね」

「有り難う。オーナーも歓びますよ」

それから、既に食事を終えている蒼と華憐に目を向ける。

「お二人にもお飲み物の追加をお持ちしますね。ごゆっくりどうぞ」

会釈をして立ち去る荷葉を見ながら、蒼は力強い口調で言った。

「あんたは一人じゃない。そうだろう?」

「……はい」

「私達も、また来るから。その時は、もっと色々お話しようね」

「はい」

一人じゃない。

本当にそうだ。

優しい人、暖かな人達。

胸が熱くなる事実に、改めて気付いたから。

強くなれる気がする。

今よりずっと。

強くなりたいと思う。

今までより、ずっと。








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