怪異


廃校になった後も、管理はされているようだ。

入り口にも窓にも、全て鍵が掛けられている。

なるべく痕跡を残さずに立ち去りたいから、窓を割ったりするのは避けたい。

荷葉は閉ざされた学校の昇降口の前でポケットを探った。

そして細い針金のような道具を取り出して鍵穴に差し込む。

僅か数秒で、いとも簡単に鍵は開いた。

その様を見た後、恐る恐る尋ねる。

「あのう、賢木さん。失礼ですが、お仕事は何を……?」

「飲食店ですが」

「え」

荷葉が笑って問い返す。

「何だと思いました?」

「い、いえ。ちょっと訊いてみただけですから」

「心配しなくても、悪い事はしていませんから大丈夫ですよ」

言いながら昇降口を開ける。

中はまだそのままで、生徒達が使っていただろう靴箱がずらりと並んでいる。

「何だか懐かしいですね、この感じ」

先程まで怖かったのに、何だか楽しくなって来てしまう。

学校に入る事自体久し振りだ。

何となく楽しくてわくわくする。

けれど、中に入ってすぐに顔をしかめて口を開く。

「でもやっぱり、嫌な感じがしますね」

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