怪異
ドアを開けると、冷えた夜風が吹き付けて来た。
乱れる髪を押さえながら、目を細める。
やはり、いたか。
暗黒の気配を纏う、闇の存在。
妖魔。
素早く太刀を取り出しながら、桔梗に向かって言う。
「準備は良いですか?」
「……はい」
刀を構えた娘の声は、これまでのものとは違っていた。
鋭い意志を込めた声音。
放たれる殺気。
二人で戦うのは、これで二度目だ。
だが、共に戦うのにこれ以上の相方はいないと思う。
言葉にしなくても、動きが分かる。
桔梗が刀を構えたまま駆け抜け、妖魔の足を薙ぐ。
巨大な狼のような姿をしたそれが、押し潰されそうな程の咆哮を上げる。
怯む事無く突っ込むとは、大したものだ。
桔梗の刀は妖魔の足を掠めたが、斬るには至らなかった。
間髪入れずに違う足を狙って飛び込む。
巻き上がる風は、自然のものではない。
妖魔から放たれる強い気配が、渦を巻いている。
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Reservoir Amulet