その時、丁度良いタイミングで来客を告げるベルの音がした。

これ幸いとそちらへ向かいながら、ふと思う。

この後会う事になっている相手、結崎桔梗には恋人はいないのだろうか。

全くそんな話は聞かないが、もしいるとしたらあまり他の男と出掛けていては誤解される恐れもある。

それに、あの騒がしい従業員達と年齢は近い筈だが。

妙に落ち着いているように思えるのも気になった。

性格もあるだろうが、何となく。

何となく、あの瞳の奥にそれだけではないものを秘めているような。

もしも一歩踏み込めばとんでもないものが出て来そうな。

そんな予感さえあって。

これまでに何度か会う内に、仕事中にふとそんな事を考えてしまう程。

桔梗が気になる存在になっているのは確かだった。







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