「あの、荷葉さん」

不意に桔梗に呼び止められる。

今も服はきつく掴んだままだ。

「私、さっきから呼ばれているような……」

「呼ばれて?」

やはり、何も聞こえない。

「こちらの方からです」

桔梗は道を外れ、木々の間へと踏み込んだ。

寄り添うように歩いて、そしてそれを見付ける。

荒れ果てた小さな祠。

目にした瞬間、異常を感じ取った。

妖魔の気配と、それだけではなく。

祠から黒い影が溢れ出る。

「……っ」

とっさに服を放して距離を取った桔梗の方へ、影は伸びて覆い尽くす。

「桔梗さん!」

駆け寄ろうとした時、別の方向から妖魔が現れた。

「こんな時に……!桔梗さん!」

太刀を素早く取り出して構えながら、地面に倒れた桔梗へと呼び掛ける。

帯のように伸びる陰がまとわり付いている桔梗は、意識を失っているようだ。

唇をかんで、巨大な鳥に似た妖魔を見上げる。

早く片付けなければ。







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Reservoir Amulet