どんな経緯でそうなったのかは、詳しくは知らない。

ただ貧しい村の暮らしを支える為に都へと出稼ぎに行き、そこで牢に入れられ処刑されたという事だけが人伝えに伝わって来た。

村の者は皆、それを聞いて口をつぐみ、それ以上何も話そうとはしなかった。

彼には身寄りが無く、他に騒ぐ者もいなかったのも大きいかもしれない。

下手に追求し、都に逆らったと思われるのも恐れたのだろう。

しかし、自分は信じている。

帰ったら一緒になると誓い合った彼が、あんなに優しくて働き者だった彼が。

何かの罪を犯すなど、有り得ない。

待っていれぱ、いつか帰って来てくれるかもしれない。

そう思って、待ち続けたけれど。

行き遅れと影で言われる程、自分も歳を重ねてしまった。

だからこそ、今回の縁談を皆があれ程歓んでいるのだ。

断る事は、出来ない。

地面に膝をつき、声に出さずに涙を流す。

一生、あの人の為だけに生きれたら。

この身全て、あの人の為だけに使えたら。

幼い恋だと、すぐに忘れられると人は言うかもしれない。

けれど初めての恋だったからこそ。

終わりなど見付からない。

彼と添い遂げる未来を、一時でも思い描いてしまったからこそ激しく。

想いは燃え上がり、焼き付くす。

自分は嫁ぐ先で、きっと相手を愛せるだろう。

それでもこれ程の想いを抱くのは、生涯ただ一人だけ。

想いを、この地に葬ろう。

彼との想い出と共に、埋めて行こう。

いつか、いつかきっと遠い未来で。

彼に伝えられると信じて。








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