飛び立つ事の無い、巨大な鳥。

何度か斬り込む内に、何処か違和感を覚えていた。

これまでに倒して来た妖魔は、ただ冷えた敵意だけがあった。

立ち向かう者を倒そうと、それだけが感じられた。

けれど、この妖魔は何かが違う。

向かって来る事に、迷いがあるような。

「…………」

しばらく妖魔の目を見据えた後、とうとう太刀を下ろした。

戦い始めてからこれまで、変化を与えている何かがあるなら。

巨大な鳥からは目を離さずに、倒れている桔梗の方へ近付く。

地面に膝をつき、そっと抱き起こす。

彼女はただ気を失っているだけではなく、何かをしているのかもしれない。

その証に、桔梗を視界に入れた妖魔は、もう襲っては来ない。

大きな翼を羽ばたかせるだけで、じっと二人を見詰めている。

一瞬だけ桔梗の白い顔に視線を落とし、いつでも動けるよう太刀を握り直す。

彼女は今、何を見ているのだろう。







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Reservoir Amulet