何度も呼ばれている自分の名。

大きな手のひらが頭の下に差し込まれているのを感じる。

体全体が、何かに包み込まれているように温かい。

少しずつはっきりとして行く意識で、ようやく今自分を呼んでいる人の名を思い出した。

いつも優しくて親切で穏やかな彼の声は、今は苦しそうで絞り出すようで。

ゆっくりと目を開くと、驚く程近くに彼の顔があった。

「桔梗さん!気が付きましたか?良かった……」

この人の、こんな顔は初めて見る。

まるで泣き出すのをこらえているような表情。

いつも余裕がある人だと思っていたのに、こんな声を顔をさせる程心配させてしまっていたのだと気付く。

「賢木さん……」

「はい。体は大丈夫ですか?何処か、痛むところは」

「私は大丈夫です」

答えながら、自分が荷葉が膝の上に抱えられていると気付いた。

ああ、だからこんなにも温かいのか。

体を起こし、どうしてか泣きたくなる感情を隠して微笑む。

- 57 -







[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet