秋
何だろう。
まるで誰かに呼ばれているような気がする。
周りには誰もいないのに、どうしたというのか。
再度息をついて空を見上げた瞬間、不意に視界が闇に包まれた。
音の無い、光の無い空間。
その中に、声が響く。
助けて。
助けて。
助けて。
「……え?」
目を見張って呟く。
突然訪れた闇も、どうしてか怖くはなかった。
それどころか、不思議と懐かしいとさえ。
更に、声は続いた。
『助けて。助けて。お願い』
黒だけの空間に、紅が見える。
『あの人は、ずっと一人で』
紅と黒。
やがてそれが、舞い散る落ち葉と人影と分かる。
『ずっと一人で戦っているから』
見えた瞳に息を飲む。
あの人は。
『お願い、助けてあげて』
一瞬でも忘れられない。
深い色の瞳を、覚えてる。
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Reservoir Amulet