秋
何かに急かされるように走ってしばらくすると、道の先に人影が立っているのが見えた。
風に長い髪が揺れている。
どうやら女性らしいとは分かったが、月明かりに照らされた姿をはっきり確認した時には、驚いて足を止めてしまった。
女性が身に付けているのは白い千早と紅の袴で、長い黒髪を後ろで結わえている。
巫女と呼ぶしか無いと思える程、全く違和感が無かった。
しかし、どうしてこんな所に巫女がいるのだろうか。
手に布で包まれた長い荷物を持っているのも気に掛かる。
「行くんですね?」
不意に問いかけられ、はっとして見返す。
まだ何も答えない内に、巫女は再び口を開いた。
「助けに行くのでしょう?」
分かっているのだろうか。
呼ばれるように急かされるように、胸が今も騒いでいる事を。
巫女は静かに微笑むと、こちらに数歩足を進めた。
「これを」
布で包んだ荷物を差し出しながら続ける。
「お持ち下さい。貴女には必要なものでしょう」
「え、でも……」
戸惑っていると、巫女が優しく促す。
「どうぞ」
渡された物は、ずしりと重い。
思わず両手で抱くように持ちながら、慌てて尋ねる。
「あの、貴女は……?」
それには答えず、巫女は微笑んだまま言った。
「御武運を、桔梗【ききょう】さん」
どうして自分の名を知っているのか。
彼女は一体何者なのか。
疑問はあったけれど、今は。
急き立てられるまま、手を振る巫女に一礼して走り出した。
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Reservoir Amulet