距離


砂浜に着地したところを見ると、亀によく似た姿をしている。

試しに太刀を振って打ち込んでみたが、容易く弾かれる。

どうやら弱点を見付けなければ、攻撃が利かないようだ。

硬い殻から、そこを引き出させなければ。

「……っ、見かけの割に素早いですね」

水音をさせて着地した桔梗が、刀を構え直しながら呟く。

その言葉通り、妖魔は二人の攻撃をはね返し、素早い動きで再び海に潜った。

そして数秒後、盛大な水飛沫と共に飛び出す。

そのまま体で押し潰そうとして来るのを避け、弾かれるのも構わずに打ち込む。

また海に潜られないよう、陸に追い込まなければならない。

しばらく攻撃を続けていると、やがて妖魔がもがくような様子を見せた。

硬い甲羅から、短い足と頭が出て来る。

そこを逃さずに、太刀を振り下ろす。

確かな感触と共に、右の前足を斬り落とした。

間髪を入れず、桔梗も後ろ足の一本を斬る。

暴れて砂を飛ばして来るのに顔をしかめ、太刀を持ち直した。

もう一息だ。

同じように刀を構える桔梗と目が合い、自然に笑みが洩れる。

本当に、不思議と負ける気がしない。

先程彼女と刃を合わせた影響もあるだろうか。

言葉が無くとも、お互いの動きが手に取るように分かって。

重なって、繋がっているようだから。

ほぼ同時に砂浜を蹴り、残った足を斬り落とす。

その勢いを保ったまま、太刀の持ち方を変えて妖魔の頭へと突き立てる。

桔梗も同じように刀を突き立てた状態で、まだ微かに動いている妖魔を見据える。

やがて妖魔は完全に動きを止め、朽ち果てるように見えなくなった。

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