距離
しばらく車を走らせた荷葉は、高層マンションの敷地内へと入った。
そして地下にある駐車場に車を停める。
「……あの、賢木さん。此処は?」
促されるまま車から降りて尋ねると、荷葉は平然と答えた。
「僕が住んでいるマンションですよ」
「え!?此処に?」
目を瞬いて声を上げる。
「ええ。意外ですか?」
「意外というか、とても似合っているというか……」
一体何者なのだろう。
こんな高級そうなマンションに住んでいるなんて。
「一人暮らしですか?」
「はい。桔梗さんと同じですね」
笑顔で言われたが、もう驚き過ぎて声も出ない。
自分の安いアパートでの一人暮らしとは、全く違うと思う。
「さあ、行きましょう。濡れたままでは良くないですから」
「は、はい」
導かれて綺麗なエレベーターに乗り込み、着いた先は何と最上階だった。
未知の場所に、無意識に荷葉に身を寄せていたようだ。
「寒いですか?早くシャワーを浴びた方が良いですね」
心配そうに言った荷葉が、足を止めてドアを開ける。
「どうぞ。少々散らかっていますが」
「……!」
電気を点けて広がった光景に、再び驚いて息を飲む。
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Reservoir Amulet