距離


玄関だけで自分が住んでいるアパートの部屋位の広さがある。

家賃が幾らなのか、考えるのも恐ろしい。

「桔梗さん?具合が悪いんですか?」

「い、いいえ!お邪魔します」

そこまで言ったところで、改めて荷葉を見上げる。

「あの、私、お邪魔して良いんでしょうか?」

「勿論ですよ。僕も以前、君の部屋にお邪魔させてもらったでしょう?」

「そ、そんな事もありましたが……」

まだ戸惑う気持ちはあったが、優しい笑顔を見ていると不思議と安心出来る。

「では、お邪魔します」

小さく頭を下げ、荷葉の後に続く。

リビングに通され、その様子に目を見張る。

壁が一面窓になっていて、外の景色が良く見える。

趣味の良い家具が置かれたそこは、本当にホテルのようだ。

荷葉は散らかっているといっていたが、とんでもない。

こんな素敵な部屋に、こんなびしょ濡れの格好でいるのが申し訳なくなる。

立ち尽くしている間に荷葉はてきぱきと動いて、着替えとタオルを持って来て渡す。

「どうぞ。バスルームはそちらのドアの向こうです」

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Reservoir Amulet