距離
荷葉が淹れてくれた紅茶を飲むと、更に体が温まった。
気遣いに感謝しながら、教えてもらった洗濯機がある部屋へと向かう。
乾燥機能が付いた立派な洗濯機に驚きつつ、二人分の洗濯物を入れてスイッチを押す。
後は乾くまで待つだけだ。
何か出来る事は無いかと申し出てみたものの、これでは何かした気にならない。
結局、数分でリビングに戻る事になった。
改めて見渡すと、本当に広い部屋だ。
こんなに広い所で、一人で。
荷葉は寂しくなったりしないのだろうか。
ふとそんな事を思いながら、窓辺に歩み寄った。
外に広がる美しい景色に、思わず目を奪われる。
夜は深まり、光の数は減っている。
けれど、星空のように夜景は眼下に広がっている。
まるで夢のように綺麗だ。
その場に座り込んだまま、どれ位の時間が流れたのだろう。
「どうしました、桔梗さん。そんな隅に座り込んで」
声を掛けられてはっと振り向くと、タオルで髪を拭きながら荷葉が立っていた。
「…………」
いつもきちんとした姿しか見ていなかったから、不意打ちで寛いだ姿を見て言葉に詰まる。
「やる事が無くて、退屈でしたか?」
「あ、いえ。綺麗だなと思って」
窓の外を示しながら言うと、隣に来た荷葉は笑った。
「夜景の綺麗な場所へ行く予定だったでしょう?途中でドライブは中止になりましたが、せめて夜景位はと。この部屋からの景色も悪くないですから」
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Reservoir Amulet