距離


普段は滅多に自分の望みを口にしない。

遠慮がちで、気を遣って。

最初の共に戦うという望みを口にした時から、今では全く印象が変わっている。

『私も一緒に戦います』

あの言葉を、どれ程の覚悟を持って口にしたのか。

側にいるからこそ、感じていたけれど。

「私も見てみたいです」

不意に彼女からこぼれた言葉に、彼女自身も驚いているようだった。

だからこそ、その願いを叶えたくて。

「見て行きますか?」

そう尋ねたら、笑ってくれたから。

言ってみて良かったと思った。

「じゃあ何をしていましょうか。映画でも観ますか?」

桔梗が気に入るようなものがあれば良いが。

窓際から離れて棚の方へ向かう。

「あ……」

棚の前で立ち止まった桔梗が、小さな声を上げた。

「これですか?」

視線の先にある本を引き抜いて渡すと、大きな瞳が輝いた。

「は、はい!この本、ずっと気になっていたんですけど、まだ読めていなくて」

「桔梗さん、推理小説がお好きでしたよね」

「どうして知っているんですか?」

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