秋
そしてその中心へと、一気に刃を突き立てた。
幾度か痙攣のように動いた後、妖魔の体は完全に止まる。
見ている中で、まるで腐食するかのように形を無くして行く。
何も無かったかのように消えたのを見届けて、太刀を払い鞘に収める。
そこで改めて、立ち尽くしたままの娘の方へ目を向けた。
「お、終わったんですね……」
娘は大きな息をつきながら、小さな声で呟く。
「怖かった……」
その言葉に違和感を覚えてよく見ると、娘の体は微かに震えていた。
とても、あの殺気を放っていたとは思えない。
「怪我はありませんか?」
手の震えを隠すように持ったままの刀の柄をきつく握り締めて、娘が尋ねて来る。
明らかに他人の心配をしている場合ではない。
歩み寄り、自分より小さな手の上から刀の柄を掴む。
震えが収まるのを待って刀を取り上げると、娘はふっと体の力が抜けたようだった。
「……これは?」
月の冴えた光を反す刃を見ながら尋ねる。
「あ、それは」
しばらく言葉を探し、上手く説明出来ないと思ったのか結局こう続ける。
「色々ありまして」
何の答えにもなっていないが、それ以上の追求はせずに刀を娘に返す。
「とにかく、助かりました。有り難う」
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Reservoir Amulet