神立
こんな状態を刑事の友人である守にでも知られたら、爆笑されるだろう。
何かしなくてはならないのは、分かっているけれど。
再び溜息をついて下げた食器を手に厨房に戻ると、同僚の女性達が声を掛けて来た。
「あの、賢木さん!」
「はい、何でしょう」
こういう風に話し掛けられる時は、大抵ろくな内容ではない。
嫌な予感はしたが、笑顔で応じる。
「今日、仕事の後は予定ありますか?皆でカラオケ行こうって話してたんですけど」
やれやれ、またか。
もう断るのも飽きて来た。
「申し訳ありませんが、今日は予定がありますので」
「え、まさか恋人と会うとか?」
「賢木さん、彼女いないって聞きましたけど、本当なんですか?」
何処からそんな話を聞いて来るのだろう。
もう面倒だし、はっきりさせておくのも良いかもしれない。
「いませんよ 」
それから、笑顔でさらりと付け足す。
「好きな人はいますけどね」
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Reservoir Amulet