神立


その言葉に、辺りの空気が変わった。

「えええ、本当ですか!?」

「彼女じゃなくて、好きな人ですか?片想い!?」

声を聞きつけたのか、オーナーの隼まで会話に加わった。

「それ本当?賢木君が結婚するなら、この店貸し切ってパーティーしよう」

「あ、良いですね!」

「私達からのサプライズで、何かプレゼントも用意したいです!」

「話が飛躍し過ぎですよ、皆さん」

盛り上がる周囲に、苦笑を浮かべながら言う。

「僕はまだ、彼女と付き合っている訳でもありませんし。今は取り敢えず、下の名前で呼んでもらえるように頑張っているところです」

「…………」

皆は黙り込み、驚いたように顔を見合わせた。

「な、何か意外ですね、賢木さん……」

「そうですか?」

「どんな娘か見てみたいなあ。今度、店に連れて来てよ」

隼に言われて、少し考えてから提案する。

「もし良ければ、今から来てもらいましょうか?これから会う約束をしているので」

「あ、本当かい?じゃあ頼むよ。特製ケーキ用意しとくからさ」

期待に満ちた視線の中、携帯電話を取り出した。

隼がこんなに会いたがるのは、何だか意外だ。

それでも、もう飲み会やカラオケという呼び名の合コンに誘われなくなるのは有難いし、暖かく見守ってもらえるなら良いだろう。

急に待ち合わせの場所を変更して、桔梗の迷惑でなければ良いけれど。








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