神立


「そんな事無いよ。絶対嬉しいって。俺も、真宵【まよい】さんがくれたものなら何でも嬉しいしさ」

真宵というのは至聖の恋人だ。

何度か店に来た事もあるし、会う度に声を掛けてくれる。

まるで人形のように整った顔立ちの美人だが、至聖といる時にはふっと柔らかな表情を見せたりする。

「本当に仲が良いですね」

「そうかな。そうだと良いけど。色々あったから、今笑ってくれたらそれだけで良いんだ」

何があったのか詳しくは知らないけれど。

それでも今、二人は本当に仲が良くて幸せそうだから。

思う。

こんなにも、誰かを。

至聖に背中を押されて本と雑誌を購入し、店を出る。

外は雨が降っていた。

少し早いけれど、荷葉との待ち合わせ場所に行こうか。

折り畳みの傘を取り出そうとバッグに手を入れた時、携帯電話に届いたメールに気付いた。

開いてみると、荷葉からだった。

仕事が終わったらいつもの待ち合わせ場所ではなく、荷葉の働く店に来てくれないかという内容が、彼らしい丁寧な文章で書いてある。

今から行くとメールを打ちながら、一人首を傾げる。

突然どうしたのだろう。

不思議に思いながらも、傘を差して歩き出す。

店の場所は、以前同窓会で行ったから分かる。

雨に濡れないように本屋の袋を抱え直し、歩く足を速めた。









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