神立


メールを送ってからしばらくして、返信があった。

その内容を確認してから、固唾を飲んで待っていた周囲の人々に告げる。

「今からすぐに来てくれるそうです」

すると厨房のあちこちから、安堵の溜息が聞こえて来た。

「良かったー!どんな人か楽しみです」

「ねー、興味あるもんねー。賢木さんの彼女」

「いえ、ですからまだ彼女ではなく」

今日何度目かの否定をしようとした時、先程から黙々と作業していた隼が手招きした。

「こんな感じでどうかな。賢木君の彼女の為の特製セット」

「…………」

もう否定するのも疲れ、何も言わずに覗き込む。

そこには白い皿の上に小さ目のシフォンケーキや苺のムース、リンゴのタルトなどが盛り付けられ、クリームやフルーツソースで飾られている。

「女の子だから、こういうの好きかなと思ったんだけど」

「有り難うございます。きっと歓んでくれると思います」

素直に感動しながら礼を述べると、隼は笑って言った。

「折角来てくれるんだからね。あ、彼女はコーヒー派?紅茶派?」

「紅茶かと」

「了解。砂糖とミルクは?」

「いつも入れていますけど」

さり気無い質問に、疑問も持たずに答える。

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