神立


紅茶の準備を始めながら、隼が不意ににやにやした。

「いつも、かあ。何度かデートはしている訳だね?」

「は、はあ……。まあ」

デートと言って良いのかは分からないが。

「じゃあ、後少しだね!応援してるよ!」

背中を強く叩かれて、軽くむせながら尋ねる。

「あの、どうして此処までしてくれるんです?」

「んー、そうだね」

隼は思い返すような瞳で続けた。

「俺の親友のこと、思い出すからかな」

「親友ですか?」

「そう。ひねくれてて、妙に大人っぽくて。最初はとっつきにくたったけど。でも恋をして変わったから。始めは妹だーなんて言って誤魔化してたけど、でも変わって行ったから。それを見てたら思ったよ。恋は良いものだよ」

隼は微笑んで、真っ直ぐにこちらを見た。

「また店に来たら、会ってやってよ。今はあの頃の恋を叶えて、結婚してるから。奥さん連れて、また来てもらうからさ」

「あ……はい」

その言葉には、今は語っているよりも多くのものが込められている気がして、思わず頷いていた。

彼の親友に会ったら、また何か変わるのだろうか。

変わって行くのだろうか、少しずつ、何かが。

- 97 -







[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet