神立
紅茶の準備を始めながら、隼が不意ににやにやした。
「いつも、かあ。何度かデートはしている訳だね?」
「は、はあ……。まあ」
デートと言って良いのかは分からないが。
「じゃあ、後少しだね!応援してるよ!」
背中を強く叩かれて、軽くむせながら尋ねる。
「あの、どうして此処までしてくれるんです?」
「んー、そうだね」
隼は思い返すような瞳で続けた。
「俺の親友のこと、思い出すからかな」
「親友ですか?」
「そう。ひねくれてて、妙に大人っぽくて。最初はとっつきにくたったけど。でも恋をして変わったから。始めは妹だーなんて言って誤魔化してたけど、でも変わって行ったから。それを見てたら思ったよ。恋は良いものだよ」
隼は微笑んで、真っ直ぐにこちらを見た。
「また店に来たら、会ってやってよ。今はあの頃の恋を叶えて、結婚してるから。奥さん連れて、また来てもらうからさ」
「あ……はい」
その言葉には、今は語っているよりも多くのものが込められている気がして、思わず頷いていた。
彼の親友に会ったら、また何か変わるのだろうか。
変わって行くのだろうか、少しずつ、何かが。
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Reservoir Amulet