兆し.10


今までと変わらず苛立つ一方で、別の感情が湧いて来る。

奥深く封じた、消え去った筈の何かが強く呼び掛けて来る。

これに耳を傾けたら、きっと自分を無くしてしまうのだろう。

だから、この娘と共にいると調子が狂う。

未来で眠っている少女の姿を思い出し、静嵐は鋭く目を細めた。

あの場所を守り続ける彼女の持つ力。

それが胸を掻き乱す原因なのか。

ならば早くその力の出所を探り出し、そして。

そして、時が来たら自分はどうするのだろう。

瞳を向けた先にあるのは、何も知らない少女の横顔。

そこに浮かぶのはあどけない微笑みか、それとも。





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