兆し.21


アパートの部屋に帰って来ると、霄瓊はすぐに夕食の支度に取り掛かった。

「今夜は腕によりを掛けて、納豆フルコースを作りますね」

「…………」

それは美味しいのかという静嵐の思いを察したのか、霄瓊が慌てて言う。

「大丈夫です。納豆が好きな静嵐には、きっと気に入ってもらえます」

張り切りながら腕まくりをする様子を見て静嵐は溜息をつき、一つしか無い部屋に戻って新聞を広げる。

水が流れる音、包丁で食材を刻む音、食器が触れ合う微かな音、そしてその合間に聞こえる軽い足音。

普段なら気にも止めない物音が今日はやけに耳につき、新聞の内容がちっとも頭に入って来ない。

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