兆し.25


霄瓊は怪訝そうに細められた瞳を見て、急いで言い直した。

「お茶、どうぞ」

「……ああ」

湯飲みを差し出した手と受け取ろうとした手がぶつかり、中身が零れた。

静嵐が素早く霄瓊の手を掴み、熱いお茶が掛からないよう避けさせる。

「あ……。す、すみません」

一瞬置いて我に返った霄瓊が慌てて謝る。

「大丈夫ですか。掛かりませんでしたか」

静嵐は無言のまま手を放し、釈然としない顔で自分の手をしげしげと眺める。

「まさか手に掛かったんですか?すぐに冷やさないと!」

「そういう訳じゃない。大丈夫だ」

「本当に?」

「本当だ」

その返事にほっと息をつき、霄瓊は布巾を取りに台所へ向かった。

静嵐の方に背を向けて、自分の胸に手を当てる。

今更、どうしたというのだろう。

自分でもどうかしていると思うのに。

瞳が交わった瞬間、手が触れ合った瞬間に。

いつも鎮めていなければならない心が、揺らぎそうになった。





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