戦いの夜.12


そして静嵐の中に力が流れる。

それを受けて、体が軽々と動く。

これは人の力ではない。

悪に魂を売り渡して、人ならざる者となって初めて手に出来る。

かつて人間であった頃の自分が何を願い求めて魂を売ったのか、静嵐は覚えていない。

魂を渡すという事はそれまでの自分を、その心も記憶も全てを渡すという事だからだ。

けれどきっと、願いは叶ったのだろうと思う。

そうでなければ、今何も感じずにいるなど出来ないだろうから。

魂を無くし心を無くしても、真の願いならば残る筈だ。

それ程に強い願いならば、簡単に消えはしない。

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