戦いの夜.15


霄瓊が静嵐の方へ数歩近付いた時、突然足元の砂が渦となって巻き上がった。

「……っ!?」

大きな影が視界に入り、思わず息を飲む。

倒した筈の生き物が素早く体を起こして、伸ばした足で砂の中から離れた位置の霄瓊を叩き付けた。

砂地を滑った霄瓊の体を、別の足で引き寄せる。

「ちっ!」

静嵐が舌打ちをして跳躍し、同時に自分の中に力が解放されるのを感じた。

そのままの勢いで生き物の足を断ち切ると、霄瓊は身を起こして刻印のある腕に手をやった。

荒い息をつきながら意識を集中させている様子を見て、不意に静嵐の中で何かが強く告げた。

これ以上、続けさせてはいけない。

突き動かされるように、静嵐は倒すべき相手とは逆の方向へと体を動かしていた。

「えっ!?」

驚いた霄瓊の顔が間近に見え、初めてその心の動揺が伝わって来る。

しかしそれを感じたのも一瞬で、首筋に突き立てられた激しい痛みと熱さに意識が途切れた。





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