戦いの夜.16


すぐ目の前で起こった事が信じられずに一瞬呆然とした霄瓊は、自分に被さるようにもたれ掛かる静嵐を支えながら急いで手を動かした。

これを使う局面が来るとは思わなかった。

以前、念の為にと湧碕から渡されて、この地で外に出る時は常に持ち歩くようにしていたけれど。

静嵐がいる限り、使う必要など無いと。

彼が倒れたりするなど考えられないと。

しかし今、その時が来たのだ。

霄瓊は身に付けていた拳銃を素早く構え、引き金を引いた。

弾は背後から静嵐を襲った生き物の頭を撃ち抜いた。

何発か撃ち込まれた生き物が、今度こそ倒れて動かなくなる。

霄瓊は大きく息をつき、銃をその場に置いた。

まだ意識が戻らない静嵐を地面に寝かせて、痛々しい傷を確かめる。

首筋から肩にかけて大きく切り裂かれた傷口から流れる血を布で拭って、はっとして手を止めた。

傷の周りが変色を始めている。

(毒が……)

生き物の牙が持つ毒が、静嵐を蝕んでいる。

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