戦いの夜.26


「…………」

「じゃあ、俺は見張りがあるからもう行くぜ。しっかり休んでろよ」

静嵐から返事が無い事は慣れ切っている湧碕が一人で喋って立ち去ると、急に静かになった。

ビルの入り口から、今も雨が降り続く外の様子が見える。

此処に寝かされていたのは、きっと奥まで運んでいる余裕が無かったからだろう。

静嵐は霄瓊に視線を戻すと、何となく手を伸ばしてその髪に触れた。

普段は柔らかそうに波打つ髪も今は雨で湿り、血や泥が付いて乱れている。

着ている服はあちこち破れているし、見えるだけでもかなりの怪我をしている。

自分が意識を失ってから、此処に帰るまで。

彼女の道程がどれ程過酷だったかは、容易に想像出来た。

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