戦いの夜.27


自分より体の大きな男を支え、夜になってより凶暴になった生き物と戦って。

降り注ぐ痛みの雨に耐えながら。

それでも辿り着いたのだ、此処まで。

それは静嵐にとって、奇跡に近い事のように思えた。

銃を携帯していたから身を守る術はあったとはいえ、ほとんど撃った事は無かった筈だ。

このビルの方向も分かっていないようだった。

途中で力尽きる可能性の方が、ずっと高かったのに。

それでも、辿り着いたのだ。

一体何がこの娘を支え、駆り立てるのか。

そしてもう一つ、分からない事がある。

霄瓊の髪から手を離して、その手を自分の額に当てる。

この間から、無意識の内に体が動く。

熱い茶から火傷をしないように庇ったり。

本当なら生き物を倒さなくてはならないのに、気が付けば霄瓊が力を制御するのを止めようと動いたり。

自分自身が、分からない。

先程見た夢が、それを教えてくれていた気もするけれど。

そんな気がするだけで、どんな夢だったのかも何を見ていたのかも思い出せない。

額に手を当てたまま考え込んでいると、眠っていた霄瓊が僅かに身じろぎするのが分かった。

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