クリスマス.05


「こんな事を言っては、貴女の彼氏に怒られてしまいますね」

やがて、黒曜が思い出したように言って手を離した。

「彼氏……?」

「どうしました、そんな不思議そうな顔をして。いつも送り迎えをしている彼の事ですよ。きっとさぞ心配したでしょう」

「そうではないと思いますけど」

彼氏などではないと訂正するのも忘れ、霄瓊は考え込んだ。

「でも最近、何だか元気が無いような気がするんです。あの人は何も話さないから、余計に分かるんです」

言葉にしなくても、伝わって来るものがある。

それは些細な表情の変化であり、ほんの僅かの動作の違いでもあった。

言葉が無い分、見逃してしまいそうな小さな揺れにも気付ける。

「そう分かっても、何も出来なければ何の意味も無いんですけど」

溜息をつくと、黒曜が興味深そうに尋ねた。

「あの人って、彼の事ですよね。元気が無いとはいつからですか。具体的には、貴女が怪我をするよりも前ですか、後ですか?」

- 150 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む

表紙へ

ページ:



Reservoir Amulet