クリスマス.12


「何の話だ」

眉をしかめて尋ねられた霄瓊が、至極真面目に答える。

「だって静嵐が私を心配するなんて変ですよ。まさか、またお腹でも壊してしまったんですか?」

「どうしてそうなる。俺の体は丈夫だと、何度言ったら分かるんだ」

「あっ、そうです。せめて、これをどうぞ」

霄瓊は全く聞いていない様子で、自分がしていたマフラーを外した。

そして、それを背伸びをして静嵐の首に巻く。

「コートが無いのでは寒いでしょう?このマフラーは黒ですから、静嵐がしてもおかしくないですよ」

満足気に頷く霄瓊を、静嵐は不可解なものを見るような目で見やった。

つい先程まで、泣いていたのに。

涙は流れていなくても、心が揺れていなくても分かったのに。

どうして何事も無かったかのように笑っているのか。

そして人の事ばかり気にするのか。

首元に手を動かして、そこにあるマフラーに触れる。

今まで霄瓊がしていた為か、それは温もりと柔らかな香りを持って包み込む。

本当に、苛立つ程に強くてお節介で。

けれど、それが不快ではない。

この温もりは、嫌ではない。

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